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裏切られるのは、いつも妻とはかぎりません。
『サレタガワのブルー』の主人公・田川暢は、妻に裏切られたサレ夫です。しかも相手は妻の上司。そしてその上司にも妻がいました。
この記事では、全15巻・全145話で完結した本作の結末をネタバレで解説します。あらすじから、裏切った藍子と和正がどこへ行き着いたのか、そして暢が最後に選んだ相手まで、最終回まで書いています。
先に言っておくと、この作品はスカッとします。裏切った2人には、それぞれきっちり報いが来ます。
作品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | サレタガワのブルー |
| 作者 | セモトちか |
| 掲載 | マンガMee(集英社/マーガレットコミックス) |
| 連載期間 | 2018年12月28日〜2022年12月9日(約4年) |
| 巻数 | 全15巻・全145話/完結 |
| 主人公 | 田川暢(たがわ のぶる) |
| Renta!評価 | 3.5(44件)/殿堂入り |
| 実写ドラマ | 毎日放送「ドラマイズム」/2021年7月14日〜9月1日・全8話 |
| ドラマ主演 | 犬飼貴丈・堀未央奈 |
あらすじ(ネタバレなし)
田川暢、26歳。グラフィックデザイナーとして働き、3つ年上の妻・藍子と暮らしています。
ある日、暢は妻の不倫を知ります。相手は藍子の職場の上司・森和正。9歳年上の既婚男性でした。
ここから本作の構図が動き出します。和正には妻がいる。森梢——彼女もまた、夫に裏切られた側の人間です。
つまりこの物語には、裏切った2人と、裏切られた2人がいます。暢と梢は、まったく別の家庭にいながら、同じ痛みを負わされた者どうしとして出会うことになります。
タイトルの「ブルー」は、暢が抱え込む鬱屈そのものです。怒りをぶつける相手も、共感してくれる相手も、はじめは彼のそばにいません。サレ妻の物語では当たり前にある「共感してくれる誰か」が、サレ夫にはいない——そこから始まる話です。
登場人物
| 役名 | 役柄 | ドラマ版キャスト |
|---|---|---|
| 田川暢(たがわ のぶる) | 主人公。グラフィックデザイナー。26→34歳 | 犬飼貴丈 |
| 田川藍子(たがわ あいこ) | 暢の妻。アパレル関係。29→36歳 | 堀未央奈 |
| 森和正(もり かずまさ) | 藍子の上司。不倫相手。35→43歳 | 岩岡徹(Da-iCE) |
| 森梢(もり こずえ) | 和正の妻。のちに田川梢。26→34歳 | 高梨臨 |
| 久民浩平(ひさたみ こうへい) | 美容室経営者。26→34歳 | 中田圭祐 |
年齢が「26→34歳」と幅で書かれているとおり、本作は8年におよぶ時間を描きます。全145話という長さは、この時間の流れを描くために使われています。
相関図|裏切った2人と、裏切られた2人
- 暢 と 藍子:夫婦。暢が3歳年下
- 藍子 と 和正:不倫関係。和正は藍子の職場の上司で、9歳年上
- 和正 と 梢:夫婦。梢は夫に裏切られた側
- 暢 と 梢:どちらも裏切られた側。ここが物語の行き着く先になる
この4人の配置が、そのまま結末の設計図になっています。裏切った2人が落ち、裏切られた2人が残る。145話かけて、その形にきれいに収束していきます。
見どころ|「サレ夫」であることの孤独
当ブログではサレ妻ものを数多く扱ってきましたが、本作の主人公は男性です。この違いが、そのまま作品の質感になっています。
サレ妻の物語では、主人公のまわりに味方が現れます。友人が怒ってくれる、母親が抱きしめてくれる、同じ立場の女性と連帯する。サレタ側の復讐のように、妻たちが同盟を組む作品さえあります。
暢にはそれがありません。
男が「妻に浮気された」と言ったときに返ってくる反応は、共感ではないことが多い。情けない、男らしくない、お前にも原因があるのでは——そういう空気のなかで、暢は感情の置き場を失います。タイトルの「ブルー」は、その行き場のなさを指しています。
8年という時間の使い方
本作が145話を必要としたのは、因果が効いてくるまでの時間を、実際に描いたからです。
短編の復讐漫画なら、証拠を突きつけて相手が破滅するまでが数話で終わります。本作は違います。裏切った側がすぐに罰を受けるわけではなく、いったんは新しい生活を手に入れたように見える。そこから何年もかけて、少しずつ崩れていきます。
即効性はありません。ただし、時間をかけて崩れたものは元に戻りません。この作品の後味は、そこから来ています。
【ネタバレ】最終回の結末|藍子と和正はどうなったのか
最終回では、暢と梢が結ばれてから6年後の姿が描かれます。それぞれの行き着いた先を見ていきます。
藍子|拘置所を経て、ボロアパートでの一人暮らしへ
暢と別れたあとの藍子は、転落していきます。
ホストのレオに捨てられ、暴力事件を起こして拘置所に入れられます。このとき身元引受人になったのは、皮肉にも元夫の暢でした。
その後は実家に戻ることを許され、生活を立て直します。現在は都内のボロアパートで一人暮らし。雑貨屋で働き、真面目な働きぶりを店長に認められています。
失ったものは、夫、家庭、そして生活水準です。ただし完全な破滅では終わらせていません。働いて生き直そうとしているところで筆が置かれます。ここは読者によって評価が割れる部分でしょう。
和正|自分がやったことを、そっくりやり返される
本作の結末でいちばん効いているのが、和正です。
彼は梢と別れたあと、ともみという女性と再婚します。九州へ移り、無農薬野菜の事業を始めました。新しい家庭と新しい仕事——一度は手に入れたように見えます。
しかし事業は失敗します。行き着いたのはボロアパートでの暮らしと、毎日ともみに責められる日々でした。
そして決定打がこれです。そのともみが、元同級生の友野と不倫しています。
妻の不倫に気づかないまま、責められ続ける生活。彼がかつて藍子の夫にしたことを、今度は自分がされているわけです。断罪の場面があるわけでもなく、誰かに糾弾されるわけでもない。ただ静かに、同じ構図に置かれている。
大声を出さずにここまで効かせる決着は、なかなかありません。
結末は分かっても、暢が8年かけて表情を取り戻していく過程はコマでしか伝わりません。あの変化を確かめたい人は → 1巻を試し読みしてみる(Renta!)
暢と梢|裏切られた者どうしが家庭をつくる
暢は梢と再婚します。
そこに至るまでには、梢がストーカー被害に遭い、暢が助けに向かうという出来事もありました。互いに裏切られた側として出会った2人が、支え合う関係へ変わっていきます。
最終的に2人のあいだには女の子が生まれます。暢が「梢とたっくんの存在が自分の中でこんなに大きくなっている」と感じる場面があり、彼が失ったものを取り戻したことが示されます。
裏切った2人がボロアパートにいて、裏切られた2人が家庭を築いている。この対比が最終回の絵として提示されます。
スカッと度|静かだが確実に効く
本作のスカッと度は高めですが、種類が違います。
短編の復讐漫画にあるような、公衆の面前で暴露して相手が崩れ落ちる——という瞬間的なカタルシスはありません。代わりにあるのは、8年後に全員の現在地を並べて見せるという決着です。
- 効くところ:和正の末路。自分がやったことを自分がやられる構図が、説明抜きで示されます
- 物足りないかもしれないところ:藍子は生活を立て直しつつあり、完全な破滅では終わりません
- 覚悟が要るところ:全145話。決着まで長く、途中は暢が耐える場面が続きます
今日中にスカッとしたいという目的なら、やっとお前が地獄に行くとこ見れるね(全5話)のほうが確実です。本作は時間をかけて崩れていく様子を見届けるタイプだと思ってください。
考察|なぜ「サレ夫」の物語はここまで少ないのか
当ブログで扱ってきた14作のうち、サレ夫が主人公なのは本作と『余命3ヶ月のサレ夫』の2本だけです。ジャンルとして圧倒的に少ない。
理由は読者層だと思われます。この種の作品を読むのは主に女性で、感情移入の対象として「裏切られた妻」が求められている。供給がそこに集中するのは自然なことです。
ただ、その結果として「サレ夫はどう扱われるか」という主題が空白地帯になっていました。本作はそこに入っています。
復讐の形が変わる
主人公が男性になると、復讐の形そのものが変わります。
サレ妻ものでよく使われる手段——不倫相手の職場に乗り込む、家庭にばらす、女性たちで連帯して追い詰める——は、暢には使いにくい。同じことをすると「みっともない男」として描かれてしまうからです。作品の外側にある目線が、主人公の選べる手段を狭めています。
だから本作の暢は、ほとんど能動的な復讐をしません。彼がやるのは、自分の生活を立て直すことだけです。
そして8年後、裏切った2人は勝手に落ちています。暢が手を下したからではなく、彼らが選んだ生き方がそのまま返ってきた。この距離の取り方が、本作の後味を決めています。
「復讐しない復讐もの」と言ってもいい。派手さはありませんが、当ブログで扱ってきた作品の中では異色の立ち位置にあります。
読者の評価
Renta!での評価は3.5(44件)。数字だけ見ると当ブログで扱う作品の中では控えめですが、「殿堂入り」タグがついており、長く読まれてきた作品であることが分かります。
評価が割れる理由は、おそらく決着の付け方です。全145話かけて丁寧に描くぶん、途中で「早く報いを受けさせてほしい」と感じる読者は出ます。爽快感を最優先する人には向きません。
一方で、この作品を「不倫を思いとどまらせる話」として受け取る読者もいます。裏切った側が失うものを、8年ぶんの時間で具体的に見せているからです。
ドラマ版について
2021年7月14日から9月1日まで、毎日放送「ドラマイズム」枠で全8話が放送されました。
主演は犬飼貴丈(田川暢役)と堀未央奈(田川藍子役)。森和正を岩岡徹(Da-iCE)、森梢を高梨臨が演じています。
原作は全145話・8年におよぶ物語ですが、ドラマは全8話です。尺が大きく違うため、描かれる範囲は限られます。特に本作は「時間をかけて因果が効いてくる」ことが持ち味なので、最終的な決着まで追いたいなら原作を読む価値があります。
他のドラマ化作品はドラマ化されたスカッと復讐漫画まとめで整理しています。
似ている作品・あわせて読みたい
- 余命3ヶ月のサレ夫/当ブログでもう1本のサレ夫もの。ただしこちらは感動系で、方向性がまったく違います
- ホリデイラブ/同じくW不倫もの。不倫相手が家も金も子どもも失う結末です
- サレタ側の復讐/裏切られた者どうしが手を組む構図が本作と似ています。全10話と短い
- レプリカ 元妻の復讐/じっくり追い詰める長編が好きな人に。連載中です
『サレタガワのブルー』を読む方法
結末を知ってから読み返すと、和正が得意げにしている場面がまったく違って見えます。8年後にどうなるかを知ったうえで序盤を読むのが、この作品のいちばん濃い読み方です。
- 全15巻・完結済み/続きを待つ必要がありません
- 1巻の試し読みができる/1巻179ページとボリュームがあり、合うかどうか判断できます
- 購入は1巻855ポイント/※この作品はレンタルの取り扱いがなく購入のみです。全15巻なので、まとめ買いの前に試し読みで確かめることをおすすめします
- 会員登録は無料/購入にはポイント還元もつきます。運営19年・会員数1,100万人の老舗サービスです
価格や配信状況は変わることがあるので、最新は公式ページでご確認ください。
感想・評価
総合 80/100(★★★★☆)
| 項目 | 点数 |
|---|---|
| ストーリー・構成 | 17/20 |
| キャラクター | 16/20 |
| 世界観・画力 | 15/20 |
| テーマの深さ | 17/20 |
| 読後感・満足度 | 15/20 |
評価したいのは構成とテーマです。「裏切った2人と裏切られた2人」という配置を最初に置いて、145話かけてその配置どおりに収束させる設計は見事でした。サレ夫の孤独という、あまり描かれてこなかった主題に踏み込んだ点も評価できます。
減点は読後感です。決着まで長く、藍子の扱いも完全な断罪ではないため、爽快感を求めて読むと物足りません。あくまで一読者としての個人的な評価です。
よくある質問(FAQ)
Q. 藍子は最後どうなりますか?
A. ホストに捨てられ、暴力事件で拘置所に入れられます。身元引受人になったのは元夫の暢でした。その後は実家に戻り、現在は都内のボロアパートで一人暮らしをしながら雑貨屋で働いています。
Q. 不倫相手の和正はどうなりますか?
A. ともみと再婚して九州で事業を始めますが失敗。ボロアパートで毎日ともみに責められる生活になります。しかもそのともみが別の男と不倫しています。
Q. 暢は最後に誰と結ばれますか?
A. 森梢です。和正の妻だった女性で、彼女も夫に裏切られた側でした。2人は再婚し、女の子が生まれます。
Q. 完結していますか?
A. 全15巻・全145話で完結済みです(2018年12月〜2022年12月連載)。
Q. スカッとしますか?
A. します。ただし瞬間的なカタルシスではなく、8年後に全員の現在地を並べて見せるタイプです。すぐスカッとしたいならやっとお前が地獄に行くとこ見れるねのほうが向いています。
Q. どこで読めますか?
A. Renta!で全15巻が配信されています。1巻の試し読みが可能です。なおレンタルの取り扱いはなく、購入のみ(1巻855ポイント)です。
こんな人にぴったり
- サレ夫視点の物語を読んでみたい人
- 派手な断罪より、因果応報が静かに効く結末が好きな人
- 長編をじっくり読みたい人(全15巻・完結済み)
- ドラマ版を見て、その後の顛末が気になっている人
まとめ
- 藍子は拘置所を経てボロアパートで一人暮らし。生活は立て直しつつある
- 和正は事業に失敗し、再婚相手に責められる日々。その相手も不倫しているという因果応報
- 暢は梢と再婚し、女の子が生まれる。裏切られた者どうしが家庭を築く
- 全15巻・全145話で完結済み。8年の時間をかけて因果が効いてくる設計
- 当ブログで唯一の「スカッとするサレ夫もの」。もう1本の『余命3ヶ月のサレ夫』は感動系で方向が違う
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